Tohoku University Rowing Club

膝の痛み

膝の痛み

 Q:私の選手の何人かが医者に膝蓋骨骨軟骨炎あるいは膝‐大腿痛症候群であると言われております。これらの障害がトレーニングを妨げる可能性を少なくするにはどうすればよいのか教えて下さい。 

A:まず第一に、この障害を悪化させないようにトレーニングプログラムを変えようとしていることに敬意を表します。膝大腿痛症候群と膝蓋骨骨軟骨炎は女子選手には非常によくある障害です。基本的には、膝前面の痛みはおそらく膝蓋骨の裏側の軟骨の変性によるものといわれております。この場合、痛みの他に膝を伸ばしたときのグリグリした感じや、不安定な感じや、場合によってはその部が腫れることもあります。残念ながら漕手にとってのいくつかのトレーニングはこの状態を悪化させることが多いのです。たとえば、階段の上り下りやジャンピーやディープスクワットなどがそうです。漕手は大腿四頭筋や殿部筋群が発達していますが、これらの筋群が動くときに膝蓋骨の裏側の圧力が増して、このような障害を有する選手では症状を悪くするのです。

この障害をかかえる選手ではスクワットは床と平行な角度を越えないようにとどめるかできればクオータースクワット(4分の1スクワット)をおすすめします。症状がある場合には、ニーエクステンションエクササイズと同様にジャンプクロンウェルやジャンピーは避けるようにしています。階段を歩いてまたは走って下ることはこのグループでは実に痛いことです。コーチは階段などすべてを避けなくても、これには十分な時間をかけるべきです。最後に予防的ストレッチやストレッチプログラムをこれらの選手に課すべきです。これがたぶん症状を出さないための最善の方法でしょう。

強化エクササイズ

強化エクササイズは内側広筋(大腿四頭筋のひとつ、VMO. 膝頭の内側の小さな筋肉)を強化するために考案されたものですが、非常に簡単で足首の重量を利用して行うものです。

1) Quad Sets: 10回を3セット

痛いほうの脚を伸ばして平面に座るか横になる。膝を曲げずに大腿の筋肉を緊張させる。基本は膝の裏側を床に押しつけるようにするのです。4つ数える間これを保持します。

2) ターミナルエクステンション: 10回を3セット

痛いほうの脚を伸ばして床またはテーブル(ベッド)に座ります。タオルか枕を丸めて膝の下にいれ膝が大体15度程度曲がった状態にします。痛いほうの膝を完全にまっすぐに伸ばします。膝を伸ばしたときに踵が床をはなれて10cmあがるようにするのです。

四つ数える間膝を伸ばし続け、ゆっくりおろしまた4つ数えてください。

足首に0.5kgのウェイトからはじめ、4.5kgまで0.5kgきざみで増量していきます。

3) ストレートレッグレイズ: 10回を3セット

痛くないほうの脚を曲げて足の裏がテーブルに平らにあたるように、そして痛いほうの脚をまっすぐ伸ばして仰向けになります。痛いほうの脚をまっすぐにしたまま反対側の大腿と同じ角度まで挙上します。そこで4つ数えてゆっくりおろしたあとまた4つ数えるのです。

足首に0.5kgのウェイトからはじめ、4.5kgまで0.5kgきざみで増量していきます。

ストレッチ

両手両膝を床についた四つん這いの姿勢で、片手とその反対側の脚をまっすぐに水平に伸ばして体幹の筋肉を緊張させる運動です。5つ数えるまでその延ばした姿勢を保ち、つぎに腕と脚を変えてまた同じことを繰り返す。これを15回、2セット行う。セット間には数分のあいだをおく。足首と手首にはウェイトをつけて強度を上げてもよい。

1) 大腿ストレッチングエクササイズ: 103セット、各30

姿勢: 横向きにねて上になったほうの膝を曲げ手で足を保持し股関節を伸ばす。

動き: 足を後ろ上方へ引っ張ることにより膝が曲がり股関節が進展する。

目的: 大腿四頭筋と股関節前面と下腿を伸展させる。

Tips: 膝に痛みをけっして感じないように。

2) 股関節前面のストレッチング: 10回を3セット、各30

姿勢: 片方の膝は90度まげ足はフラットに床につく。

動き: 背中と体幹をまっすぐに保ちながら、ゆっくり体を前方の足の上で前へ傾ける。

目的: 腸腰筋と股関節前面のストレッチ

Tips: 背筋をまっすぐに保ってストレッチを強調させる。

3) ITBストレッチング: 10回を3セット、各30

姿勢: 仰向けに寝て股関節と膝を90度に曲げ、反対側の手を曲げた膝に当て、反対側の脚はまっすぐ伸ばす。

動き: 膝と脚を中心線を越えて引く、頭は反対側を向き上肢を伸ばす。

目的: ITB、股関節外側、腰椎近傍の筋肉群をストレッチする。

Tips: 両肩をフラットに床につける。

どんな予防的エクササイズにも少なくともひとつは大事な考え方があるのです。

“If you don’t do them, they don’t work!”

[訳: 舟山裕士, Boathouse Doc/US Rowing(June 2000)]

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テーマの著者 Anders Norén