エルゴの設定はどうすればいいか? | LIBRARY | 東北大学漕艇部

コンセプト2エルゴのダンパーは1から10まで設定できますが、その設定は何を意味するのか、また、あなたにはどんな設定が正しいのでしょうか?

By Dick Dreissigecker and Judy Geer

ダンパーのセッティングについての疑問は、エルゴの核心を衝く重大なテーマであり、難しい問題である。まず第一にエルゴの抵抗がフライホイールについたファンの空気抵抗によって生み出されるものであることを認識する必要がある。これは流体抵抗であるため、エルゴで漕ぐ感覚は水を漕ぐ感覚に近いものになる。抵抗はフライホイールのスピードによって直接生み出される。フライホールが速く回るほど空気抵抗は増加する。ダンパーをどのように設定してもこの原則はいきている。十分な抵抗が感じられないときはフライホイールをもっと速く加速するように強く引けばよい。

では、ダンパーの役目は何であろうか。ダンパーはフライホイールに流れる空気の量を調節している。これはある一定の抵抗を得るためにどれだけフライホイールを加速しなければならないかに関係している。ダンパーを開けている状態ではそれほどフライホイールを加速しなくとも負荷を感ずることができる。これは水上でのボートと同じである。重くて遅い木のギグボートではそれほど速くオールを引かなくとも負荷を感ずることができる。逆に水面を滑るように進む軽量のシングルではボートを加速させるためにかなり速くパワーを伝えなければならない。

別な見方でエルゴについて考えると、ダンパーのセッティングは自転車のギヤに似ている。ダンパーのセッティングでの1は最も低いギヤで、10は最も高いギヤに相当する。われわれは自転車に乗るときには、最もよいパフォーマンスを得るために速度と道路の状態に応じて正しいギヤを選ぶことが重要であることを知っている。

われわれはスピードと路面状況に応じてわれわれの“モーター”の能力を引き出すためにギヤを常に変えながら走っている。漕艇では幸いなことに、特にエルゴにおいては状況は自転車ほどには変化がない。エルゴにおいては坂道もなければ向かい風も追い風もない。しかし、最大のパフォーマンスを得るためにスピードにモーターを適合させる必要がある。

短い速いピースをやろうとするときは長い遅いピースをやるときよりも高いギヤでやったほうがよいというのはある程度理解できる。もっともこの原則が当てはまって欲しくない場合も多い。

第一に、パワーを伝えるスピードを養うのにローギアで早く漕ぐトレーニングと、力を養うのに通常よりも高いギアで漕ぐトレーニングにはそれぞれ根拠がある。第二に、漕艇というスポーツで上達するにつれて、ギアを低くすることや筋肉の収縮スピードが速い状態でパワーを伝えることはスコアを伸ばすのに役立つであろう。一見するとこれは直感に反するように見える。ふたたび自転車競技に目を転ずればすぐれたサイクリストは非常に速い筋肉収縮をみせていることに気づくであろう。一方、初心者はゆっくりした動きのほうが快適に漕ぐことができる。昨年のCRASH-Bスプリントでボブ・ワデルがダンパーを3に設定して平均1分25秒のペースで2000mを漕ぎきったことは興味深い。ダンパー3の設定で2分のペースで漕ぐことは多くの人は絶対軽すぎると感じるであろう。

それでは一体ダンパーの設定はどうすればよいのだろう。答えは、以下のことを組み合わせて考えなければならない。

個人的な好み: 快適性、趣味、感覚
生物機械的効率が個人個人で異なる: テスト漕を行ってベストスコアをだす条件を探すのである。必ず数日間はすべての新しい設定に慣れるまでトレーニングしてからテスト漕を行う必要がある。
トレーニングの目的: 長距離レース、短距離レース、マラソン、スプリント。短距離レースでは長距離レースの時よりもダンパー設定を少し高くしてよい。
漕ぐボートの種類: 速い艇種なのか遅い艇種なのか。速い艇種ではダンパー設定を軽くしてパワーを伝えるのに必要なスピードを養うようにする。
どんなトレーニングを今やっているのか: 週に1-2回は強さを養うワークアウトを選択することもよい。その場合は高い設定で短いピースを行うようにする。
ある一定の長さのピースでベストパフォーマンスがでるダンパーセッティングを実験によって見いだす。
驚くなかれ、トレーニングが進んでいくと、ギアを少し低くすることでよい結果が得られるものである。
一般に、(われわれがいえる限りでは)多くの漕手はダンパー設定が3-5で最も快適に漕げるようだ。この設定はボートで必要とされる素早くパワーを伝える技術を要求するものである。これは同時に誰もが求めている高い心血管系のワークアウトに向いた設定でもある。

編集部:ディック・ドライシゲッカーはコンセプト2の創立者の一人で1972年のオリンピック選手であった。彼と弟のピーターが納屋の床に自転車を打ち付けた最初のエルゴを組み立てたのである。ジュディ・ギアは1983年からコンセプト2で働いているがオリンピック候補選手に過去3回選ばれている。ディックとジュディは夫婦でもある。

[訳: 舟山裕士, Boathouse Doc/US Rowing(Winter issue / 2001, 4/15)]